論文 コーナー
急成長する中国企業と
日本企業への啓示
甲南大学 経営学部 杉田俊明
財団法人 日中経済協会『日中経協ジャーナル』2002年1月号掲載分
(要旨)
1、日本企業、とりわけ日本の家電メーカーは、80年代の初頭において対中進出し、製品も大量に輸出して中国市場を席巻した。90年代に入ると中国企業が台頭、日本企業は中国企業と中国の市場で競争する時代を迎えた。そして21世紀初頭、日本企業は中国だけではなく、世界市場でも中国企業との厳しい競争に直面する時代に突入した。対中ビジネスのパラダイムは、グローバルビジネスへとすでにシフトしている。この点は、これからの日本企業の戦略再編において極めて重要である。 |
2、中国のWTO加盟により、中国ビジネスの自由化が進む。世界の工場としての対中進出、逆輸入、あるいは現地から対世界市場へのアプローチが一層盛んになる。巨大中国市場への参入もより容易になり、ビジネス・チャンスの拡大が期待される。他方、中国でのビジネス、また、逆輸入に関わる日本国内でのビジネス、中国製品の席巻による世界市場でのビジネス、そのいずれにおいても大競争の時代を迎える。この中国を中心としたグローバル大競争の時代にどう対応すべきか。日本企業はまさに戦略再編の元年を迎えている。 |
3、2002年からの対中ビジネスや、中国に関わるグローバルビジネスは、もはや単純貿易や投資の時代ではない。日本企業と中国企業の経営者はそれぞれ冷静に、互いの競争優位について検討し、厳しい市場競争に勝ち抜くための自社のコア・コンピタンスの創造に励むと同時に、特定分野における共生をはかるために戦略提携のパートナーをどう求めるべきか、という課題に直面している。そして、日本企業にとっては、中国にも謙虚に学び、経営改革など地道に努力することが競争力を取り戻し再生する道筋でもある。 |
海爾の物流部門 自動倉庫システムの 導入により合理化が 進む。 筆者撮、2001年8月 (以下同) |
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インセンティブ・ システムの一環 としての海爾社内の 「淘汰通告」 (淘汰者氏名への 塗り潰しは筆者に よるもの) グローバル大競争の 中で日本企業は 淘汰されないために 何が必要か。 |
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