「ユニクロ現象」討論会(2001年度)
講義資料 | 討議・発言 |
杉田俊明が2001年12月6日、神戸大学大学院経営学研究科MBAコースにて行なった講義(ユニクロのケース・スタディ)の資料は下記の通りである。 プレゼンテーション・スライド (抜粋。pdfファイル) なお、本資料を閲覧するためにはパスワード(2002年5月26日更新分)と、閲覧するための無料ソフトAdobe Acrobat Reader V5が必要。 パスワードは受講関係者(本講義以外の他の杉田担当科目の受講者、杉田担当の諸講演の受講経験者含む)で、かつ、当サイトの登録者に発行する。 |
このコーナーはユニクロに関するさまざまな意見が掲載されている。 近年急成長しているユニクロは多くの問題も孕みながら、さまざまな意味において経営者や従来の企業経営に衝撃を与えている。 「ユニクロから学ぶ」かどうかというよりも、このコーナーでは、我々は、「ユニクロ現象」をきっかけに、経営の本質やそのあり方について、あるいは、21世紀のビジネスパーソンとしての大競争時代への対応などについて、さまざまな意見を拝聴してみることにする。(下記掲載文は寄稿文の一部抜粋である。) なお、それぞれの意見については原則として原文のまま掲載される。 |
杉田俊明研究室(甲南大学)
最終更新:2002/05/26
2002年度の討論はこちらのリンクへ
以下、討議・発言一覧(2001年度までのもの)
意見発表者一覧
第四弾・討論(掲載順=受信順):日高春幸/王 宇龍/日當勝広/藤田洋亮/小清水健/
齋藤 憲吾/中野絢介/徳海陽子/袁克蕾/高 方/櫻井鮎子/鈴木靖隆/
第三弾・討論(掲載順=受信順):安東美樹/北村幸彦/河野真季/河端大地/
秋山淳/合田敬一/田辺裕介/佐々木容子/上床隆典/石崎真臣
第二弾(掲載順=受信順):王 宇龍/清水雅子/高 方/内藤基貴/日高春幸/
中野絢介/日當勝広/大野由紀子/櫻井鮎子/徳海陽子/近村智大/小清水健
第一弾(掲載順=受信順):安東美樹/田辺裕介/秋山淳/佐々木容子/黒田達也/
河野真季/北村幸彦/合田敬一/舟辺清香/上床隆典/石崎真臣/吉井啓
----- Original Message -----
From:日高春幸
Sent: Sunday, November 12, 2000 11:57 AM
いよいよユニクロの海外進出。そこで海外進出において、河野さんは、
世界最適地販売と言えるだろうか、イギリス・・(中略)・・が受け入れるだろうか、
と指摘されてます。確かに、私も、最初はそう思いましたが、
柳井正社長の考えにより「これは期待できる。」と考えるようになりました。
その考えとは、
アメリカかヨーロッパ、どちらかの先進国がよい。アメリカに比べると
競争が穏やかなヨーロッパで、「ショーウインドーとしての都市」という意味では、
パリかロンドンが良い。アメリカは何ヶ国か経験後。フランスは
保守的で、イギリスのほうが、資本・商売の面では開放的。それに、
日本とは昔から親しく、国民性が類似。ロンドンの通りを歩いていても、
東京の人と格好が殆ど一緒だし、日本の情報も数多く入る。
という内容である。
安くてシンプルな日本車は大成功を収めた。ユニクロのカジュアル
ウェアーはそれよりずっとカラーバリエーションが豊富である。
以上の点から、海外進出は期待できると考える。
----- Original Message -----
From: 王 宇龍
Sent: Sunday, November 12, 2000 11:32 PM
中野絢介さんはユニクロがゼロエミッションや不良在庫を無くす戦略をアパレル業界で効率良く
実現していることを言及しました。私はつい最近のゼミでJUST-IN-TIME(JIT)
SYSTEM
(Nothing is bought or produced until it is
needed.)に関する知識を勉強しました。
私はユニクロがそのシステムをうまく実現しているではないかと思います。ところが、競争が非常に
厳しいの現代でJITというシステムまだ通用できるのかと疑っています。たしかJIT は過剰
生産や運送などの面で調達でき、無駄なコストをゼロにすることができます。しかし、顧客からの
注文や需要を分かってから生産し始めると遅くではないかと思います。もしそのときに、同じ
業界のライバルである他社は顧客需要の商品の在庫品があると、いち早く取引をしてしまう可能性が
あると思います。昔から日本は信用第一、値段の安さが関係なく信頼関係で結んだ取引先と
商売する傾向があります。ところが、これから世界中のさまざまな国と商売するときにはこんな
やり方で商売がうまくできるかどうかと疑っています。でもユニクロが消費者の要望に応じてゼ
ロエミッションや不良在庫を無くすことができるのは素晴らしいと思います。
----- Original Message -----
From: 日當 勝広
Sent: Monday, November 13, 2000 4:41 PM
上床隆典さんへ: 広告戦略の世界標準化対現地適合化の議論は相当の議論が
なされていおり、一概にこれが良いと断言できないのが現状だと思います。確かに、広告は
英国の文化的異質性によって製品のイメージや特徴を浸透させるためには
適合化は有効ですが、消費者が知覚する意味合いと企業が意図したものとが
異なる恐れもあります。私はユニクロが現段階で広告の適合化を行う必要ないと
思います。理由は二つあり、一つは衣服という製品が英国と日本の
ライフスタイルにおいてさほどの差があるものではないということと、
もう一つはグローバル化の発展段階に合わせるべきだということです。
市場参入初期の段階で、本国だけのノウハウをもって英国市場に挑むわけ
ですから、本国の戦略がどの程度通用するかを試さなければならないと考えます。
今回のユニクロの英国進出の本質は、長期的な視野に立ったグローバル化の
ノウハウの獲得にあると思います。
----- Original Message -----
From: 藤田洋亮
Sent: Monday, November 13, 2000 11:09 PM
ユニクロはベーシックなデザインのものをアイテムを絞って大量生産することで価格を安くする
システムをとっている。おかげで昨年は1900円のフリースジャケットを筆頭にデニムジャケットなどの
ヒット商品を生み出した。しかし、それらの商品が毎年売れ続けるとは考えにくい。なぜならば
それらの商品を毎年使い捨てて買い換える消費者はあまりいないからである。
となるとユニクロは新たな戦略を考える必要があるのではないだろうか。僕はここで、
国際マーケティングのマルチナショナル企業モデルを手本に今後の展開を提案したい。
これは日本各地、またはアジアに分散している各支店が独立した組織をもち、
現地のニーズに合わせた商品開発を進めることである。ユニクロの商品をファッションとしてではなく、
生活必需品と位置付けることによって、継続的な需要を見込もうとするものである。これはユニクロを
衣料品中心のコンビニエンスストア的存在にしていくことを意味する。そしてそれらの
差別化された商品はオンラインショッピングで全消費者が全商品を購入可能な状態に
することによって補完する。これによって余分なコストの削減も期待できる。
これによってユニクロはさらに成長を見込めるのではないだろうか。もし僕がユニクロに発言権を
持つ人間だったらこの案をひとつの意見として発言したいと思う。
----- Original Message -----
From: 小清水 健
Sent: Tuesday, November 14, 2000 12:44 AM
秋山さんから自分の意見に対して返答をいただいたが、少し視点が異なっているのではないかと思う。
自分が対象としたのは昨年の話であって今年のものではない。秋山さんの意見は今年のものを
対象としていないだろうか? 秋山さんはユニクロのフリースが社会的に認知されてからこのCMを
打ったところにポイントがあるとの事であるが、昨年に限っていえば社会的に認知がされる前にも
同じCMを打ってあのフリース大ブレイクを生み出している。自分が考えるユニクロのCMに
おけるポイントというのはユニクロは小売りでありながらメーカーでもあるという点である。
ユニクロが誇るべきものは商品そのもであって、それを全面に押しだし、消費者が価格から
暗示する以上の品質を提供する。安いものならば誰でも作れるが、でも、安かろう悪かろうでは
消費者は認めてはくれない。昨年は安い品質のいいフリースを提供するだけでよかったかもしれないが、
今年はそれだけでは消費者は満足しない。そこでユニクロは価格競争ではなく質的向上策に出た。
今年は、「ユニクロのフリース50色1900円」というものである。これもまた、シンプルで商品を
全面に打ち出したCMとなっていてユニクロのモノづくりにかける意志というものがよく感じられていると思う。
(全く顔の知らない相手とほんのわずかではあるけど討論ができて面白かったです。
また、このような機会があったらどんどん参加してみたいと思います。
こんかい、自分の言いたいことを短くまとめるというのにホントに苦労しました。)
----- Original Message -----
From:齋藤 憲吾
Sent: Tuesday, November 14, 2000 12:40 AM
ユニクロは98年10月から週一回のペースで需要予測を行い、又一方においては「ニーズ創造型」
とも言うべき新しい型の生産・販売方式に取り組んでいる。そのシーズンで
最も自信のある単品商品に絞り込み、大掛かりかつマルチなセールスプロモーション
によってマーケットニーズを一気に盛り上げ、大量販売をするものである。SCMの
再構築を初めとするユニクロのジャストインタイム方式の顧客ニーズ対応は、今日の
ニーズの多様化、PLCの短命化等の傾向を考慮すれば企業戦略として当然と言えるかも
しれない。しかしながら、ユニクロの最強の武器であるコストパフォーマンスの高さを
実現するためには、大量一括調達・販売方式がこれまでの成功の鍵であるといえる。
「ニーズ対応」と「ニーズ創造」の二つの柱がどちらも欠けることなく機能する
ことが、今後のユニクロの成長に拍車をかけると思われる。
----- Original Message -----
From: 中野 絢介
Sent: Tuesday, November 14, 2000 1:08 AM
現在大ブレイク中のユニクロの未来について考えてみたい。中国市場を開拓し、
高品質で低価格の商品を在庫回転率のよいSCM戦略により実現させ、軌道に
乗せたユニクロだが、これからユニクロがかかえるであろう問題点は次の3つ
であると考えた。それは@プロモーションの展開力の衰弱 A商品の市場飽和状態
B景気回復による消費者の強い高品質指向への移行 である。@、Aについて、
ユニクロの商品は同業他社に比べ種類が少ないため、新商品を今まで
よりももっと斬新なプロモと同時に送り出さなければ、すぐに飽和状態になり、
これが「飽き」につながり利益をあげることが難しくなるだろう。Bについては、
バブル崩壊後からの不景気のために、消費者が低価格指向になっているだけで、
景気が回復すればユニクロの位置づけも変わってくるだろう。この
3点をどのようなアイデアで対応していくかを見守っていきたい。
----- Original Message -----
From:徳海陽子
Sent: Tuesday, November 14, 2000 2:54 AM
原田洋平さんの、OPA内へのユニクロの出店戦略についての真珠とパチンコ玉を例
にしたシナジー効果の説明には感心させられました。また、石崎真臣さんに出店戦略が
成功の大きな要因だという意見をいただいたのですが、私はユニクロの成功要因は、
「顧客要望の即商品化」の一貫した理念徹底追求にあるのではないかと思います。
バブル崩壊後、長引く不況から消費者には生活防衛志向が強まり、消費は減退して
います。にも関わらずユニクロが伸び続けているのは、良い品質の商品を低価格
(低コストによる)で提供し、消費者の支持を得続けているからです。いつの時代でも
消費者が要求するもの、それは「よい商品(変化するニーズに合った)をより安く」、
つまり「顧客要望の即商品化」という一貫したユニクロの基本理念だと思われます。
この理念が消費者に支持されたときが、出店戦略も含めたユニクロのすべての
成功の始まりだったのではないでしょうか。
----- Original Message -----
From: 袁克蕾
Sent: Tuesday, November 14, 2000 12:30 PM
私は内藤基貴さんの意見について、自分の稚拙な考えを述べさせていただきたいと
思います。確かに、インターネットによる通信販売はいろいろなメッリとがあり、
これからの一つのメージャになりそうです。ユニクロはそれを
利用しているのは非常に了見があるやり方です。が、内藤さんの後半には、”
この先、欲しい物しか買わない日本の消費者に対して、現在のように単品で
攻めていく商品戦略では、先行き不透明な気もする。”という意見が賛成しかねません。
億万長者を除いて、普通の消費者であれば、みんなほしい物しか買わないと思います。
それこそ、個性鮮烈な単品商品戦略は今の物あふれの選択一杯なマーケテイングにおいては、
かなり有利ではないかと思います。ユニクロに対して、新たな看板商品なんかの必要がありません。
なぜという、ユニクロって単品戦略自体がユニクロのカジュアル系洋服は看板商品であり、
その以外に、強引に看板商品を作る必要がないと思います。もし、あえて、
ユニクロの看板商品がでるとしたら、もともと単品小売店なのに、なんでまた看板なんか出るという
消費者に混乱させるだけです。看板商品がない単品売店自体はセールスポイントです。
----- Original Message -----
From:高方
Sent: Tuesday, November 14, 2000 6:44 PM
私は河野真季さんが国際ロジスティクス戦略の巧みさについて補足したことについて、
もうちょっと述べていきたいです。ちょうど私は夏休みにロンドンへ行ったので、ここでは、
マーケティングの視点から、今回のユニクロのイギリス進出について、分析してみたいと思います。
イギリスファッション性の高い国と言われているが、実は貧と富ははっきり分けています。
多くの普通の人々はファッションより気軽い方が重視しています。それはちょうどユニクロの
企業精神とはぴったりではないか。ユニクロは普通の人々を顧客層として目指して、
低価格、高品質のブランド戦略を実行することは、自由と有閑な生活が好きなイギリス人に対して、
有効だと思います。次には、あまり商品豊富でないロンドンでは、立地戦略は
ぜひ都心や大都市へ出店することで、ユニクロのブランドのイメージ作りをします。
それで、マスコミの広告も加えて、一気に市場を占めるような知名度を上げていきます。
イギリス人だけではなく、多くの観光客も顧客になれるのです。以上は私の体験から軽く
仮設したものです。
----- Original Message -----
From:櫻井 鮎子
Sent: Tuesday, November 14, 2000 8:52 PM
これからも高品質と低価格のビジネスプロセスがユニクロのコア能力であると思う。
しかし、このコア能力が競争企業の追随にあわないとは言い切れない。もしも早かれ遅かれ
他企業がユニクロと似たようなコア能力もったとしたら、ユニクロのコア能力の有効性が薄れて
しまうのは避けられないのではないか。
この時、ユニクロが優位にたつには自社のコーポレート・ブランドの確立の度合いが大きく
左右すると思う。コーポレート・ブランドとは「我々はこんな会社を目指す!」というマネジメントの
発露であり、経営トップの明確な意志の下に日々の企業活動を通して育っていくものである。
コーポレート・ブランドの確立、すなわち消費者との安定した信頼関係を築くことが、
ユニクロの存続、さらには今以上の飛躍のカギを握っていると思う。
----- Original Message -----
From: 鈴木靖隆
Sent: Tuesday, November 14, 2000 8:59 PM
ユニクロの成功についてその根底には「カジュアル=普段着にこだわる」という明確なコンセプトの設定にあると
考える。カジュアルをいかに成功させるかということを考えた結果そこには「経営システム」の構築というものがある。
具体的にはファッションの企画から生産・物流・販売までを垂直にシステム化(垂直統合)、それぞれの機能を
世界中のスタッフがチームを組み分業(水平分業)、顧客の要望にこたえるため、いつもワンテーブルミーティングを
実行といったことがグローバルな視点でのネットワークを構築した。また社員全員での情報共有化・目的の統一化・
作業の統一化を実現する為の環境をプログラムしている。これらの基本的な経営システム設定により23の明文化
された経営理念(ファーストリテイリング社会社案内参照・ここでは省略)が明確な目的となって社員全員に伝えられ
ていることが、事業における完全実力主義、大量生産大量販売、立地戦略等の成功に反映されていると考える。
コンセプトの設定にこそ事業展開の糸口があることを知った。
----- Original Message -----
From: 安東美樹
Sent: Saturday, October 28, 2000 1:21 AM
中野絢介さんの意見に対する私の考えを述べたいと思います。
「同業他社より品揃えの・・(中略)・・不良在庫の減少が可能になるのでは?」という意見には
賛成しますが、考えなければならないのは「改善の方法」ではないでしょうか。そこで私が
考える方法は「実績データの整備と管理」です。SCM経営においては、在庫回転率・欠品率・
商品供給コスト比率・リードタイムなどの指標が重要です。よってある時期は時間と手間が
かかると思いますが、さらなる飛躍を望むなら少々の労は惜しまず実績データを粘り
強く管理し続けることが必要だと思います。また、「ゼロエミッション化」の意見についてですが、
「無駄がゼロ」という意味で言っておられるとすれば、ユニクロはこれを効率よく実現
しているといえるでしょうか。極端な意見になりますが、無駄をゼロにするなら、
納品リードタイムの短縮の為午前中に行っている受注業務を夕方まで延長し、正社員による夜間の
業務は実質不可能でしょうから、物流専門業者へのアウトソーシングを実施し物流倉庫の
出荷業務は夜間に行えばいいのではないかと考えます。商品企画機能やマーケティング
機能は、企業間の競争関係を決める中核となる機能ですので、外注化することはできませんが
自社の中核となる経営機能とそうでない機能を峻別し、その上で非中核機能をアウト
ソーシングすることが、SCM経営の上でも有効な対策になると考えます。
----- Original Message -----
From: 北村 幸彦
Sent: Saturday, October 28, 2000 1:30 AM
ユニクロの戦略の一つに、商品を絞り低コストを実現していく「フォーカス戦略」が
挙げられます。その点には大野さんの「徹底してフリースに焦点をしぼった」
という指摘がありました。私もその点には賛成ですが、ユニクロには新しい
動きもあると思っています。ユニクロはインターネットで50色のフリースを販売
しています。インターネットで販売することにより、顧客情報がデータベース化
していきます。これはデータベースマーケティングの一種だと言えないでしょうか。また、
顧客ニーズの多様化に対応するために50色という膨大な色をそろえる
ことはワンツウワンマーケティングに一歩近づくことだと思います。ユニクロが
現在行っていることはデータベースマーケティング、ワンツウワンマーケティングと
言うには不十分です。しかしユニクロはマスマーケティングを基本としながらも、
将来への布石を打っていると評価できるのではないでしょうか。
----- Original Message -----
From: 河野真季
Sent: Sunday, October 29, 2000 2:09 PM
私は高方さんが指摘されているユニクロの国際ロジスティクス戦略の
巧みさについて少し補足をしたい。確かに私もユニクロは世界最適地調達・
世界最適地生産をコスト面や品質面から実現していると思う。しかしながら
今回のユニクロのヨーロッパ進出について世界最適地販売と言えるだろうか。
イギリスのようなファッション性の高い国において「日本ブランドの中国製品」が
受け入れられるのだろうか。しかも海外でユニクロというブランドが精通していないため
生産国がどこであるかが消費者の購買を決める重要な
ファクターとなるように思われる。また、中国で生産した製品をヨーロッパ
まで配送する時に生じる配送コストもままならない。いずれは日本だけで
なくグローバル化を目指す企業は製品と国との適合度に関する情報を
コストをかけて調べ、グローバルな生産の合理化や標準化を推進する
際にコスト合理化目標のみならず原産国効果や生産国効果を測定して
からマーケティング活動とソーシング活動を統合すべきなのである。
----- Original Message -----
From: 河端 大地
Sent: Sunday, October 29, 2000 3:26 PM
中野さんの意見に「ユニクロの快進撃の原動力は、価格を最低ラインに設定した上で
高品質を適時に安定供給するリテール主導型のSCM戦略である。」とありますが、
某スーパーやGMSでも低価格で高品質なものはたくさんありますし、SCMを行っていない所は
今はもうないと思います。ただ、たまたまユニクロだけが注目されたような気がします。
それは、ファッション関連商品は流行が購買決定に大きな影響を与えると
思います。消費行動が自らの選好によってのみ、購買行動が行われないので、「他社がどの様な
選択をしたか?」や「社会でどれくらいの消費者が、ある商品を選択したか?」
という頻度に依存して選択を行う傾向があります。流行現象に見られるように
他の消費者の動向を考慮して決定することがあり、多くの消費者がとっている行動に
順応するように、心理的に消費者の選好に関係なく行われ、自分の好みではなく、
他者との心理的社会距離を小さくしようとするので、今は顧客からの信頼や評価を得て
いたり、素晴らしい戦略を行っていますが、結局は消費者の心理からみて、単に流行
現象で終わってしまうのではないかと思います。
----- Original Message -----
From: 秋山淳
Sent: Sunday, October 29, 2000 4:36 PM
小清水さんの意見に対して、いくらか私の考えを述べたい。「ユニクロのフリース、1900円」
という広告は、確かにインパクトのある感情戦略である。しかしこの広告の意義は、
暗示性を持たしているのではなく、もっと直接的な意味があると考えている。
昨年とは違い、ユニクロのフリースはもはや、低価格のみを強調する広告をする
必要はない。確かに、ユニクロの価格設定が消費者にとって魅力的なのは言うまでもなく、
広告でも常に価格が表示されている。だが現在では、ユニクロのフリースの安さは昨年のブームで
消費者のほとんどが知っている。また、他の小売店がユニクロよりも下回る値段のフリースを発売し
始めている。昨年の流行で、ユニクロの低価格フリースは確固たる地位を築き上げた。
そのことによって、ユニクロの品質は社会的に見とめられたと言える。流行が
長続きした製品がブランドになるのであって、ブランドがあるから流行するのではない。
この広告の特徴は、ユニクロのフリースが社会的に認知されてから
打ち出したところがポイントである。
わざわざ品質を訴える必要がない以上、色と値段、ブランドだけで十分だったから、
結果的にシンプルな広告になったのであろう。この広告でユニクロが主張したかったのは、
「ユニクロのフリース」というブランドを前面にアピールして、ブランド価値を持たない他社
との差別化を図ったのではないのだろうか。
----- Original Message -----
From: 合田敬一
Sent: Monday, October 30, 2000 8:22 PM
大野由紀子さんの意見について、自分の意見を述べさせていただきたいと思います。
フリースだけに絞った、ユニクロの絞り込み戦略は、企業の方向性を顧客・社員・
他企業に明確に示すことができ、最大限にアピールする事ができる。その結果、昨年
フリースの大ヒットを記録した。商品企画の創造性が大きければ大きいほど、その効果は
絶大であるが、その反面、新鮮味がなくなれば効果も薄い。今シーズンのユニクロは
50色のフリースを新たに展開している。しかし、これは昨シーズンの色のバリエーション
での不満を補ったもので、少々新鮮味に欠け、昨年ほどの大ヒットは見込めない
のではないかと思う。創造性のある企画を打ち出してきたユニクロが、
世間を驚かされなくなった時、絞り込み戦略は逆に自らの首をしめる
ことになるのではないか。むしろ、商品ミックス戦略をとり、さまざまなアイテムと
の組み合わせで提供するほうが得策なのではないか。
----- Original Message -----
From: 田 辺 裕 介
Sent: Tuesday, October 31, 2000 4:25 PM
私は櫻井さんのいうユニクロの低価格、高品質を生むビジネスプロセスは今後も
有効だと思う。このコア能力により量販店でも専門店でもない新しい業態の地位
を獲得し、食料品のような生活必需品に近い「消耗品ファッションブランド」の
地位を確立している為リピーターは、これからますます増えるためだ。
不況のためにユニクロが消費者の目に引いたと同時に多大な経営改革によるもの
でもある。ロジスティックス戦略、特定の商品に絞ったフォーカス戦略など独自
の経営戦略でコア能力を生み、消費者にうまく伝わったためである。海外でも低
価格、高品質は喜ばれるものなので優れたノウハウを得てニーズに合った柔軟な
経営戦略でシェアを増やすだろう。以上の理由でユニクロは
今後も低価格、高品質をコア能力とするだろう。
----- Original Message -----
From: 佐々木 容子
Sent: Tuesday, October 31, 2000 6:41 PM
清水雅子さんの意見の中でフリースについて自分の意見を補足しようと思います。
フリースは昨年の大ヒットでそのブームが終わったかと思っていた。しかし、ユニクロは今年も
フリースで勝負に出た。ユニクロよりも低価格で他社が攻撃をしてくる中、色のバリエーションで
差別化を図っている。インターネット上では50色を同時に発売し、店舗には1週間ごとに3色ずつ
販売していくスタイルをとっている。一方で売りたいものが明確で
インパクトのあるTVCMや電車の中吊り広告、また若者向け情報誌とのタイアップなどで
幅広い年代にユニクロのブランドを着実に根付かせている。店舗での販売を
限定化することによって消費者の購買意識を刺激していると同時に、
製品ライフサイクルを引き伸ばすと思われる。また、
ネットでの販売により消費者に購買の機会を
提供している。これは同時に衣料のような成熟産業に新たな価値を創造する
手段となるだろう。今、市場の変化のスピードは急速に速まってきている。ユニクロは
常に顧客会話力を持ち現状を革新続けている。持てるだけのツールを生かし、
SPAやSCMを活用し、ユニクロは時代の変化に応じ、巧みにその形を変えて生き延びるだろう。
----- Original Message -----
From: 上 床 隆 典
Sent: Tuesday, October 31, 2000 7:05 PM
(日當勝広さんへ)ユニクロには、アジア・アフリカなど低コスト生産を十分に可能にする生産・
調達環境が整い、そういった意味で「標準化」戦略は有効であるとの意見には賛成です。
標準化戦略をユニクロは打ち出せるシステムを現在保有していると考えられますが、
現地適合化について触れられてなかったようなので、思うところを述べさせて頂きます。
英国という成熟した市場に進出したユニクロは、ブランド志向と低価格志向の
両方が同時に存在する市場で、低価格志向の客層にターゲットを絞ったといえます。
海外においては認知度がなく、「市場最低価格でベーシックな製品を提供する」という
ユニクロの特徴、イメージを、製品を通じて理解してもらわねばなりません。そのため、
広告メッセージの重要性が強いと考えられます。広告メッセージの世界標準化対
現地適合化との因果関係では、ユニクロの場合、商品を絞り規模の経済性を武器に
しているので、現地適合化の方が適していると考えられます。この度の英国進出は、
事象であり、本質は、ヨーロッパ圏での適合にあると思いました。
----- Original Message -----
From: 石 崎 真 臣
Sent: Tuesday, October 31, 2000 7:15 PM
徳海さんの意見に付け加えさせてもらうと、ユニクロが都心や大都市へ出店する立地戦略が、
ユニクロの成功の大きな要因だと思います。ユニクロにとって、
最も重要なことは、消費者にに対して、従来の悪いイメージを払拭して、「高品質・低価格」などの
良いブランドのイメージアップであり、ブランドの知名度であると考えられる。そのためにも、
都心や大都市へ出店することで、ユニクロのイメージアップを行い、これにより、
多く売れば売るほどその分だけ比例して利益も増大していく、
SPA業態をとっているユニクロは、同じ商品を全国のローサイド店でもまた大量に販売することが出来る。
ユニクロにとっては、店舗を増やすことが直結して売り上げを伸ばすことにつながり、立地による宣伝効果が
重要な戦略だといえる。日本において、ユニクロのブランド戦略は成功し、これからも業績は伸びていくと
考えられるが、これから海外への事業展開に挑戦していくであろうユニクロにとって、いかにして外国人に
対しユニクロのブランドイメージを作っていくかが、重要な鍵になると思う。
このコーナーにおける集中討議は終了しました。
ただ、引き続きご意見を寄せていただける場合、
氏名と意見のみを掲載し、所属などは無関係なので遠慮なくご連絡ください。
なお、掲載や削除、あるいは若干の編集などについてはサイト開設者が判断して随時に行ないます
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