国際ビジネス形態の体系
杉田俊明担当新聞コラム 直接投資形態編(グリーンフィールド)
2010年12月16日付 合弁と独資 それぞれの形態をどう選択するのか
2010年12月23日付 合弁と独資 組み合わせ展開
掲載元:産経新聞グループの経済経営専門誌「フジサンケイビジネスアイ」
国際ビジネスの形態一覧 |
||||
形態 |
類型 |
細分類 |
主 要 特 徴 |
|
貿易 |
(間接貿易) |
貿易代行 |
商社などのエージェント経由の輸出入 |
|
(直接貿易) |
バーター貿易 |
物々交換による輸出入 |
||
通常貿易 |
信用状を使用する一般商品の輸出入 |
|||
三角貿易 |
売買と積出地が三ケ国・地域以上に跨る輸出入 |
|||
補償貿易 |
輸出品と見返り輸入品の組み合わせ |
|||
委託加工貿易 |
買手が提供する原材料に基づく加工生産と輸出入 |
|||
製造委托貿易 |
買手指定の企画や仕様による生産と輸出入 |
|||
OEM |
買手商標による生産と輸出入 |
|||
ODM |
買手商標による生産と輸出入、製品の開発も生産側が担当 |
|||
技術貿易 |
技術・ノウハウなど知的所有権の輸出入 |
|||
投資 |
(間接投資) |
*駐在員事務所 |
進出先における情報収集、マーケティング |
|
*証(債)券・ 不動産の取得 |
保有(配当)収益、キャピタル・ゲインの獲得 |
|||
(資源) 共同開発 |
特定資源を活用した(経営)資源の相互補完 |
|||
BOT |
特定資源を活用したインフラの整備事業 |
|||
リース事業 |
金融資源の活用、受入側投資の節減 |
|||
業務提携 |
契約による業務補完、業務交流・協力 |
|||
合弁企業 |
経営資源の相互補完、経営の参加 |
|||
少数所有 |
単純少数所有、否決権少数所有、折半所有 |
|||
多数所有 |
単純多数所有、絶対多数(議決権多数)所有 |
|||
*完全所有 |
経営資源の完全発揮、子会社に対する徹底支配 |
|||
(その他の |
合作企業 |
経営資源の相互補完、共同プロジェクト |
||
非法人型、法人型 | ||||
M&A |
現地企業の買収、吸収合併 |
|||
注1 ビジネスには多様な形態がある。企業は通常、自社の戦略に基づいて自社にもっとも適合する形態を適時に選択するものである。但し、実際の形態は相互に入り交じった複合形態(複合ビジネス)になるケースが多い。また、一部形態間において類似性や重合牲も見られるために、本表は便宜上における単純分類である。なお、すべての形態を表に網羅できず、本表では主要な形態のみを取り上げる。 |
注2 本表は製造業を主な対象にしているため、金融・サービス業を含む広義の「投資」の概念は原則的に除外している。(但し、製造業に設備を直接リースするリース業は本表に含む) |
注3 「直接投資」の概念規定は国や論者によって異なる場合がある。本表は「経営参加と経営支配」の意思有無という基準によって分類している。なお、本表における「投資」は資金だけでなく、他の経営資源(人材、技術・ノウハウ・情報、設備など)の投入も含む。 |
注4 貿易や投資のほとんどはパートナーと何らかの形での「協力」や「相互補完」を意味する。したがって、本表では*印の項目を除き、すべて広義の「提携」と見なすことができる。本表は契約による企業間における業務上の部分的な協力・協定を狭義の「提携」として、より細分化した形で掲示する。 |
出所:杉田俊明「国際ビジネスの形態進化T―――『複合国際ビジネス』理論展開への序章」甲南大学『甲南経営研究』第39巻3・4号(1999.3)P49 |
主要参考文献
杉田俊明『国際ビジネス形態と中国の経済発展』中央経済社、2002、P6
諸上茂登、杉田俊明編著『アジアからの輸入と調達』同文館1999、P143
を参照されたい。
◇その他 杉田俊明の公刊論著の一覧
バックナンバー
対中国直接投資と現地経営関連(2001年までの統計など)
国際ビジネスの形態進化(図表)