公刊論文
アジア型知的産業資本の勧め
危機を好機に変えるイノベーション経営


執筆者:杉田俊明(甲南大学

鷹は世界で寿命がもっとも長い鳥類で70年ほど生きると言われている。だが、実際に長寿するためには、鷹はある困難かつ重大な決断をしなければならない。
 40歳頃になると、鷹のくちばしは長く伸びすぎ、胸まで曲がってくる。爪の老化も始め、獲物を捉えにくくなる。羽も濃く、厚くなりすぎているため、重くて飛びにくくなる。
 この時の鷹には二通りの選択しかない。このまま死ぬのを待つか、自らを変えるための苦痛に堪え、再生するか、である。

鷹は、やがて渾身の力を振り絞って山頂の絶壁に飛び上がり、巣を築く。まず、岩石を突いて痛みに堪えながらくちばしを落とし、再び生え出るのを静かに待つ。そして、生え出たくちばしで痛みに堪えて爪を剥ぎ取り、再び生え出すのをじっと待つ。続いて、生え出した爪で羽の一本一本も抜き取っていく。
 やがて鷹は、新たな羽が揃った翼を広げ、再び、次の30年に向かって空を羽ばたく。この再生のために、鷹は、約150日間も、ひたすらさまざまな苦難に耐えて過ごす。

明確な戦略に従い、身を削るような努力を行い、難局を乗り切っていくイノベーション型企業の姿がここにある。


本文の小見出し
 

●「ハゲタカ」と「鷹的重生」
●再生するための鷹の苦闘
●金融危機と曲がり角にある中国企業の経営
●TCLの繁栄と凋落
●TCLの反省と再生
●リストラクチャリングと現代経営への転換
●危機を好機に変える中国の内需

●イノベーションと知的産業資本への転換
●従来型産業資本からの転換
●モノづくりアーキテクチャとインフラ・サポーティング産業資本
●新時代が求めるネットワーク・オーケストレーション
●知的産業資本とアジア的な競争優位を


本文の一部は、すでに特集として
『東亜』(財団法人 霞山会 発行、月刊)2009年7月号(No.505)に掲載されてい
る。
掲載文については当該雑誌を参照されたい。

なお、杉田俊明担当業務をご利用の方は下記をご利用ください。
杉田俊明 前掲テーマのワーキングパーパー ⇒ 詳細完全版(pdfファイル)

その他の関連資料
ケース研究 TCL(一般非公開)

メールTO: toshi.sugita@nifty.com
杉田俊明研究室(甲南大学経営学部)
更新 2009/06/25
ライン
トップ・ページ へ         
関連参考文献一覧のページへ