ケース・スタディ Li & Fung (利豊)
―――香港をベースにする多国籍企業―――
執筆者:杉田俊明
本文は、『甲南経営研究』第47巻2号(2006年11月)に掲載されたものである。 キーワード: Li
& Fung社の経営者は、ハーバード大学で学んだ最新の経営ノウハウを駆使すると同時に、持ち前の企業家精神を遺憾なく発揮している。そして、Li
& Fung社はオーケストレーターとして、サプライチェーンマネジメント(SCM)システムを巧みに駆使しながら、中国の経済発展とアジアの勃興をバックに、香港という絶好の立地を生かし、アメリカや欧州などとの橋渡しを巧みに行い、ビジネスを成功に導いている。 本文は、Li & Fung社が歩んできた歴史を辿りながら、この代表的な香港企業とこの企業を率いる経営者陣の経営の特徴を解き明かし、香港企業を含め、アジア型多国籍企業の競争力は何かを探索するものである。 いままでに、日本企業の経営においてベンチマークの対象は常にアメリカや欧州企業であった。だが、Li
& Fung社のようなアジア型多国籍企業のケース・スタディを通じて、本文はベンチマークのあり方や対象に新たな視覚を提供するものである。
本文の、Li & Fung社に対する基本的事項のケース・スタディをベースに、本文の続編はLi & Fung社のオーケストレーター機能やその全体のビジネスモデルとユニクロ(ファーストリテイリング)社のSPAビジネスモデル、そして総合商社のオルガナイザービジネスモデルとの比較分析を行う予定である。 |