中国の対外ビジネスとグローバル化
執筆者:杉田俊明(甲南大学)
要旨
本原稿は、佐藤憲正・他編著『国際経営』(仮題。学文社2005年10月頃刊行予定)のうち、 アジアにおいて、そして世界においても中国のプレゼンスはますます大きなものになりつつある。その中国は、1978年の改革開放以後、外国企業による直接投資を積極的に導入し、従来の国有企業の改革も合わせて急速な経済成長を成し遂げ、世界最大の工場としてさまざまな商品を輸出しつつも、世界最大の市場として、内需拡大の動きも見せ、輸入の規模をも拡大している。2004年、中国の貿易総額は1兆1千億ドルに達し、日本を抜き、ついに米国、ドイツに次ぐ世界第3位の貿易大国になった。いま、中国は外資導入の質をさらに高めつつも、自国企業の対外直接投資も奨励するようになり、自らによるグローバルマーケットへの展開に向けて着実に歩み出そうとしている。 本章は、第1節に中国における外資企業の導入とその推移、そしてその推移が意味する背景を解説する。第2節においては中国の対外貿易形態別による具体的な貿易の展開を解説し、さらに、直接投資の導入と対外貿易の関係について解説を行う。第3節は、外資利用や対外貿易による中国企業の成長と、その対外直接投資の現状について解説を行う。これらの解析により、改革開放以来の中国の対外ビジネスの動向を把握し、世界における中国のプレゼンスを再認識すると同時に、多国籍企業や日本企業と中国との関わり合いについて考えるきっかけにしたい。 @ 対中国直接投資の特徴と外資系企業の中国貿易における役割 A 中国における貿易形態別の特徴と企業形態別貿易の競争戦略
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中国企業の国際化や海外直接投資、そして、その課題について |
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