英語で学ぶ国際ビジネス(その3)

2003年夏期英語専門集中講座(MBA基礎講座)・研究発表資料
ハーバードビジネススクールで使用されている教材を使用した集中講座

田中(第三)チームによる研究発表

Transnational Management (英文内容の和文要約)
Reading4−2 Collaborate with Your Competitorand Win
P459 L21〜P464L10)       
甲南大学経営学部 片岡エマ
甲南大学経営学部(武蔵大学 国内提携校交流学生) 今伸予
甲南大学経営学部 杉田ゼミ3回生 森上美由紀、 田中春菜  
 

競争相手と提携する―そして勝つ 

 競争相手間での提携がはやっている。戦略提携は企業を強化することができるが、提携企業内において一方と格差が生じる。特に、アジアの企業と欧米の競争相手間の提携が欧米の相手に不利に働くようにみえる。提携は新しい競争相手にとって技術と市場参入を得るための低コストルートになる。

提携のケースはますます強まる。どんな状況でも、新しい市場に浸透し新しい製品を開発するには莫大な費用がかかるので、単独で進出していく企業はほとんどいない。時間はもうひとつの重要な要因であり、提携は欧米の企業にとって製品能率や品質管理を改良するための近道になる。

日本と韓国の戦略提携の場合、相手にとって必ずしも強みになるとは限らない。多くの欧米の企業は利益を得る以上に与えている傾向があるが、それは勝つためには何が必要かを知らないで提携するからである。競争相手から最も利益を得る企業は単純だが強力な方針を固守している。

提携は異なった型の競争である。成功する企業は、相手が自分たちの持っているものを吸収される恐れもあるということを忘れてはいない。彼らは明確な戦略的な目的をもって提携し、また相手の目的が自分たちの成功にどのように影響するかを把握する。

調和が最も重要な成功のものさしというわけではない。確かに時折の論争は互いに有益な提携の証かもしれない。永遠にwin-winの事業のままである提携はほとんどない。現状は、相手が満足していても知らずのうちに中核的なスキルを引き渡しているかもしれない。

提携には限界がある。企業は競争する際に、妥協をしないほうがいい。戦略提携は実際の期間が法律上の協定やトップマネジメントの目的を超えてたえず発展している協定である。情報が取引されることはエンジニアや経営管理者によって日々決められる。成功する企業は全従業員に相手に対してどのスキルやテクノロジーがタブーかを把握させ、相手が要求したり受領したりするものは何かを監視しなければならない。

相手から学ぶことは重要である。成功する企業は相手の幅広い能力を窓として互いに提携を考察する。彼らは契約を越えて、特定の地域でスキルを創り上げるために提携を利用し、意図的に組織全体に知識を広める。

競争相手と提携することで、新しいスキル・テクノロジーを身に付けることは、遠回りではない。スキルや他の技術を吸収することで、お互いの能力を補い合い高めることができる。提携することで、日本の会社が西欧のパートナーより、優位になることが分かった。日本の会社は他国より学ぶ努力をしてきたからである。戦略を学ぶことは、必要な一部分である。アジアの会社が最近提携に加わっている事の背景は、競争的なゴールではなく、戦略の変化を表す。

欧米の会社は、投資を避けるために提携をすることが多い。新しい技術を得ることよりも、新しいビジネス形態やマーケットに入る際のリスクを減らす事に関心をより多く持っている。ある、U.Sの経営者の上役は日本のライバル会社と提携するにあたって、自社の分析を提供してくれた。「相手の製造能力と私たちの流通能力で、うまく調和している。固定した生産の源をみつけられるのだったら、他部に投資する必要がないと考えている。よって、快適な関係にいる。」しかし、提携相手の、日本の会社の上役は異なった考えを持っていた。「提携が必要だと思う時、私は従業者に言う。―これではよくない。我社にこのスキルが欲しい、と。しかし、提携をすると、そのときは、トップになれず、2番になってしまう。だが、逆に提携をしないと、4年後、提携相手が出来る事を、自社自身で、出来なければ、悔しいと思う。だから、私たちは長期的に経営を考えて提携をして、技術を会得しなければならない。と。」ここでの問題は、U.S会社がリスク分散目的以上の戦略を持たないことである。

 学ぶ精神があまりにも一方的である場合、競争妥協が導かれる。ゼネラル・モーターは車と部品を韓国のDEAWOOから購入する。SIEMENSUは富士通からコンピューターを買う。このように取引はほとんど一方的である。これらOEM取引は、欧米のライバル会社からアジアのパートナーは投資の企業精神を勝ち取る事ができた。

多くの場合、アジアパートナーとの提携は、双方の目的を調和し、欧米の共同経営者は最小限の努力で競争力を即座に取り戻す

より弱い企業にとって問題は、『提携するべきか?』から『どこと提携するべきか』また『初期段階で自社をひきつけた相手の優位性が失われても、相手の興味を保つにはどのようにするべきか?』へとシフトしている。ここにある矛盾が生じる。両者が平等に他社の技術を吸収する事に専念するとき、不信や衝突が提携を台無しにし、生存を脅かされる。本質として一方が喜んで他方に依存するようなとき、提携は最もスムーズに進んでいくようだ。しかしスムーズな経営が重要なのではなく、企業にとって重要なのは提携したことによってより多くの競合性を生み出すことである。

相手側が提携の生存を保証するために必ずしも損な立場に回る必要はない。少なくとも短期間で、相互利益が可能な状態がある。相手の戦略の目的は競合性を強めることに集中する。それは各パートナーが分割されるビジネスの中で、他方の繁栄が続くことを許すことだ。

各パートナーは他方から学習し、同時に所有の技術を入手できると信じている。JVCThomsonは両者でVCRs(ビデオカセットレコーダー)をつくり、技術を交換したことでしられている。Thomsonは生産技術と製造技術を必要とし、JVCはバラバラの状態のヨーロッパ市場において成功するにはどうしたらいいかを学ぼうとしている。両者はそこに利益を得るための公平な機会があると信じている。 

どのように安全なディフェンスを造り上げるか 

 提携を成功させるには格パートナーは独自の何か:基礎研究、製品開発技術、生産能力、分配/流通へのアクセス、などを提供しなくてはならない。課題となるのは提携外の会社に対し有利に立つ十分な技術を共有するとともに、自社の中核となる技術まで移転してしまわない事だ。パートナーにどのスキルやテクノロジーを渡すかも慎重に選択する必要がある。そして計画外、または非公式な情報漏れを避ける為にセーフガードをつくらなくてはならない。目標は作業の透過性.を制限することである。提供する技術の種類により、パートナーがどれくらい容易にその技術を内面化できるかに対して重要な要素となる。欧米の会社は技術の内容上、移転をする際不利な立場におかれる。競争相手であるアジアとの提携に引きつけられるのは、その生産・製造能力の優位性である。この製造の優位性は、従業員トレーニング、サプライヤーとの統合、統計のプロセス制御、従業員関与、価値工学および製造設計を含む複雑なウェブからなっている。そのような微妙な能力を抽出することは断片的な形以外、困難である。技術と能力の間には重要な区別がある。
 例えば半導体デザインのような既存の技術は、プロセス能力より容易に移転される。アジアの会社は欧米のパートナーより学ぶものが大きいことが多い。それは、アジア側の技術は解くことが困難で欧米の技術は模倣することが容易な場合が多いからである。したがって、会社は透過性を制限するステップを取らなければならない。会社の間で移転される技術の多くは、提携の際、公式な条件で決まっていない。最高経営者が戦略的提携を組み立て、交換のための法的なパラメーター(範囲)をセットする。
 しかし、現実に交換されるもの(誰が誰に何を言われるか、誰がどの設備にアクセスできるか、誰がどの両院協議会に属されているか)は、エンジニア、販売業者および製品開発者の日々のやりとりによって決定されることもある。ここで、重要な技術の意図しない移転が起こる最も大きな危険が潜在する。操作のレベルで意図しない移転を制限するには、ゲートキーパーの役割への注意(どんな情報がパートナーに流れるかコントロールする人々)が要求される。ゲートキーパーは、パートナーが限られた通路でしか人や設備にアクセスできない限り、効果を発揮しない。富士通の多くのパートナーは異なる部門に情報や技術を要求するとき、すべて一つのオフィス(提携部門)通過する。こうすれば企業は重大なスキルおよびテクノロジーへのアクセスを管理し、支配することができる。意図しない移転の制限は結局従業員の忠実さおよび自己鍛練に左右される。これは欧米の会社の多くが直面する問題である。技術的な達成による興奮や誇りによって、スタッフは時々最高経営者には敏感と思われる情報を他と共有してしまう。だが日本のエンジニアは所有の情報を共有する可能性は低い。それは日本のエンジニアや科学者は自分の専門とすることに対する気持ちより会社への忠実心が強いからである。

最後に、透過性は提携することとなったどちらの国がベースとなるかによっても影響される。協力チームが片方のパートナーの主な設備の近くにある場合、もう片方のパートナーは学習する機会をより多く持つだろう。しかし情報交換に対する管理は弱くなる。パートナーがエンジニアやマネージャーのプライベート(食・住)の面倒をみることとなると、彼等はそのパートナーの側に回る恐れがある。ゆえに海外勤務者は、規則的な休暇と同様に本部からの頻繁な訪問が必要となる。 

単語;collaboration:合作 penetrate:入り込む、浸透する principle:原理、原則、方針

competitive:競合性 ambition 野望 interactions相互作用 confidentiality内密であること transfer:転送、移転 internalize:内面化 potential:可能性 

私見:日本の会社が成長するために、他国の企業を見習っていた。しかし、ここ最近、自分達は見習う事をしなくなったようにおもわれる。今イスに座っているところからまた立ち上がって、昔の姿勢を取り戻すべきである。OEM戦略をきちんと使いこなせば、自社の成長につながり、最小限の努力で利益を生み出せるのだから、よく勉強して、他国に乗っ取られないようにしなければならない。勝者になるためには、提携の意味に競争の意味も含めなければ負けてしまうと言うことが分かった。各パートナーは互いの経営資源を入手し合う中で、そこに新たな利益を得るための公平な機会があると信じ、その一方で自社の提携の目的を明確に固守することが大切だと考えられる。 

The partners’ strategic goals converge while their competitive goals diverge.

相手の戦略の目的は競合性を強めることに集中する。


前掲内容は受講者による以下の英文文献の和訳要約である。
Christopher A. Bartlett, Sumantra Ghoshal:
Transnational Managemant: Text, Cases, and Readings in Cross-Border Management,
Second Edition
1995, by The McGraw-Hill Companies, Inc


参考:前掲英文書の和訳書として『MBAのグローバル経営』(梅津祐良訳、日本能率協会マネジメントセンター、1998)はあるが、部分訳にすぎない。

なお、今回の集中講座に際しては、事前に前掲英文書の完全書名と、前掲和訳書の存在を出席者には一切伝えていない。
出席者は英文しかない状況の下で、チーム作業による和訳に努め、討議により前掲要約のまとめに努めたものである。
従って、誤訳や正確に理解していない部分はある(無修正掲載)が、受講者や各チームの努力の結果であり、勉学における中間成果の一環として、ここに掲載し、出席者一同の励ましと同時に、閲覧各位の参考になれれば、と思う。
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杉田俊明研究室
更新: 2003/08/31
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