英語で学ぶ国際ビジネス

2003年夏期英語専門集中講座(MBA基礎講座)・研究発表資料
ハーバードビジネススクールで使用されている教材を使用した集中講座

岩垂(第二)チームによる研究発表

Transnational Management(p11,L10〜P17,L9・英文内容の和文要約)

甲南大学経営学部 杉田ゼミ 3回生 黄田 智也、岩垂 立樹、 中島 惇介、金 明究
                     2回生 福井 翔一     

  

 国際的精神から多国籍精神へ

 海外の経営者が多国籍企業に働きかけている戦略上の役割の中に、段階的な進展が明らかに見られる。この段階的な進展を4つの段階(以下に説明)に分類することによって、私たちは2つの目的を果たせることができる。1つ目は経営態度、行動を変える事で、海外への経営方法が従来のものと異なるものとし、意欲を高められるという点。2つ目は、この4つの分類によって、私たちが使うある特定の言語システムが発展し、その結果、様々な多国籍企業が採用した戦略的アプローチを記述することができる点である。

 International Mentality:国際化意識

 国際化の最も早い段階において、多国籍企業経営者の多くは、海外への働きがけ(国内生産ラインの増加、生の物質、部品のなどを本国の生産工程に供給する)は国内の親会社を助ける遠い拠点にすぎないと考えがちである。このことは、我々が国際戦略意識(心理)であるというレッテルを張り付けたものです。国際ターミノロジー(専門用語)はこの国際製品サイクル理論から生じている。このような考えを持っている会社は、「海外子会社は親会社の付属品」と見なしがちになり、よって、現地に住んでいたことがある者か、また、たまたまその国の言語を知っている者など、その程度の知識しか持たない者に経営者を任せてしまう。そして、海外のオペレーションと関係がある決定が便宜主義か、あるいは特別な方法でなされる傾向があります。

 Multinational Mentality:多国籍化意識

 海外の環境を組織化し、海外資源からの販売と利益率を明確にする事で、経営者は海外子会社が「親会社の付属品」以上の存在であり、そして国際活動が多くの機会を与えてくれることを認識した。また、この機会を拡大するためには、本国で開発されていた設備、技術、製造ラインを取り入れることはもちろんだが、国際化意識(海外活動を軽視する)を長年持ち得ていなかった会社の教訓を取り入れることを促進した。このこと(国内市場と現地の環境の違いを経営者が認識し、そして強調したものとして発展したもの)が多国籍化意識である。多国籍化意識を持つ企業は、本国と現地国の間の製造、戦略、経営を修正することで、より柔軟性のあるアプローチを取り入れることができるようになった。そして、企業が現地の経営環境に俊敏に応じるにつれて、より多国籍化≠ニいう戦略的アポローチが発展してきた。つまり、世界各地に子会社を持つということが、多国籍の経営戦略の礎を築く上で非常に大きな役割を果たしたのだ。多国籍化意識を持った企業で、現地経営者を任せられるのは本国国籍の独立企業家である。よって、これら発展の機会に投資しているこの企業家経営者は、地元の市場や、親会社の知識を生かすことで、本社から比較的独立した立場と、現地成長を築くことができるのである。

 Global mentality:世界化意識

 多国籍化意識は海外市場でとても俊敏な市場アプローチを生み出す一方で、企業内で非効率な製造インフラを生み出す。工場は生産効率を最大限にするよりも現地市場の促進、政治的関係を改善するために建てられる。同様に現地ニーズを満たすためにデザインされた製品の増加はまた、デザイン、生産、戦略、流通、そして他の機能的作業などの効率を全体的に下げてしまう。輸送能力とコミュニケーション能力の改善と、貿易障壁が緩みつつある環境のもとで、企業は今までとは大きく異なる戦略的アプローチを取り入れた。これらの企業(多くは日本企業を起源とする)は、世界市場で商品を創り上げる点と、世界各地に少数の設備が整った工場(しばしば本社)を配置し、そこから商品を作り上げる点を考慮した。我々は、このことを代表的な世界化意識と定義する。なぜならば、世界を研究対象の分析の一単位として見ているからである。以下は憶測だが、国の嗜好や好みは違うというよりもむしろ似ている。つまり、消費者が使い慣れている本国の多種多様な商品を、十分なコストと質で伴った標準的な製品として現地の消費者に供給することで、類似した商品を作ることができるのだ。国際化戦略アプローチを持った経営者はTheodore Levitte教授が唱えた「同じ物を、同じ方法で、かつ、どこでも」生産し、売ることができる企業が将来ふさわしいという議論に同意している。この戦略アプローチは他の組織形態の比べ中央集権化と中央集権的統制を必要とし、そして生産責任者や経営責任者は世界規模の責任を持つ組織構造の中に組み込まれる。研究開発や生産活動は本社から決定付けられ、そしてほとんどの戦略決定もまた本社から決定付けられるのだ。

 Transnational Mentality ;超多国籍化意識(跨国意識)

現地国が現地法人化しようとする会社に、投資、技術転送、現地調達、などの身勝手な制限や要求をし、現地の人々は海外子会社の高品質で価格が安い商品を買おうとしなかった。このことから、現地国で現地法人化しようとするとき、現地市場や政治的ニーズ(現地側)と競争率の効率を向上しようとする力(多国籍側)が同時に生まれるため、そこから摩擦が生じてしまう。経営・経済の面では国境がなくなりつつある今、国家の自立性が減り、国家間の関係が密になる傾向がある。そのため、企業は資源を世界的に共有し、最低限のコストで最高の製品を、最良の市場に投入しなければならない。すなわち超国籍企業(Transnational)は経済的メリットと、コスト効率化を追求しつつ、また現地化や世界的規模の技術移転に答える必要がある。つまり国家間の関係を重要視し、国レベルの市場の動きに柔軟に反応する(現地側)と同時に、効果的な競争と経済能力を保持(多国籍側)しなければならない。世界を1つの単位として企業を経営し、世界中のあらゆる国で事業を行い、統一原理に従った意思決定を行うことが超国籍企業に求められる。

要点

International Mentality:国際化意識  

国際活動を軽視しがち


Global mentality:世界化意識

ブランドを重視
・世界的基準化


Multinational Mentality:多国籍化意識

海外活動への積極的参加

現地適応化            


Transnational Mentality ;
超多国籍化意識


現地との協力
現地適応化と世界的基準化とのバランス


前掲内容は受講者による以下の英文文献の和訳要約である。
Christopher A. Bartlett, Sumantra Ghoshal:
Transnational Managemant: Text, Cases, and Readings in Cross-Border Management,
Second Edition
1995, by The McGraw-Hill Companies, Inc


参考:前掲英文書の和訳書として『MBAのグローバル経営』(梅津祐良訳、日本能率協会マネジメントセンター、1998)はあるが、部分訳にすぎない。

なお、今回の集中講座に際しては、事前に前掲英文書の完全書名と、前掲和訳書の存在を出席者には一切伝えていない。
出席者は英文しかない状況の下で、チーム作業による和訳に努め、討議により前掲要約のまとめに努めたものである。
従って、誤訳や正確に理解していない部分(無修正掲載)はあるが、受講者や各チームの努力の結果であり、勉学における中間成果の一環として、ここに掲載し、出席者一同の励ましと同時に、閲覧各位の参考になれれば、と思う。
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杉田俊明研究室
更新: 2003/08/31
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